教授挨拶・教室概要
MESSAGE
教授挨拶こんにちは。老年・総合内科学教授の山本です。
当科は老年病医学講座として1976年に開講した歴史ある講座ですが、高齢者を取り巻く状況はその間に大きく変化しています。現在の老年医学の役割は、診療や研究を通じて健康寿命を延伸すること、また介護を受ける高齢者が幸福を感じることができるシステムを作ることにあります。
老年・総合内科学は老年内科と総合診療科が一体となった講座です。我々はこの特色を生かし、優れた診断能力と認知症など高齢者特有の病態への幅広い知識、フレイル、ポリファーマシーなどの高齢者の医学的問題に対する専門的技術を併せ持つ「老年・総合診療医」の育成を目指しています。
高齢者の幸福を追求するためには、自らが幸福を感じることが肝心であり、そのような仲間づくりを目指しています。このホームページが患者様・ご家族、医療者、若手医師、学生の皆様にとってお役に立つものとなることを心より願っております。
ABOUT
「老年・総合内科医」とは?大阪大学老年・総合内科学は、全国でも数少ない、老年医学と総合診療学が融合した臨床教室です。超高齢社会に対応する現代医療の課題に応え、高齢者診療と総合診療における専門的技術と研究マインドを兼ね備えた医師を養成するため、さまざまな診療・研究活動に取り組んでいます。
1. 老年医学・総合診療学の融合
老年医学の「高齢者特有の専門知識・技術」と、総合診療学の「優れた診断能力・プライマリケア能力」を融合。複雑な病態を持つ高齢者の医学的問題を解決するスペシャリストを育成します。
内科専門医を基盤とした臓器別のサブスペシャリティーを持つ医師も多く、それぞれの知見を活かして老年・総合内科医としての道を歩むことが可能です。
2. 多様なキャリアパス
総合診療コース、サブスペシャリティーコース、老年内科コースなど、各自の興味や目標に応じた柔軟な研修システムを提供しています。
大学院や市中病院での研究活動も推奨しており、臨床と研究のバランスを自由に選択しながら、最終的には「老年・総合内科医」として社会に貢献できる医師を目指します。
地域医療への貢献
私たちは、当科で学んだ医師が地域の高齢者医療や総合診療を支えるプロフェッショナルとして活躍することを目指しています。単なる技術習得にとどまらず、高齢者の生活を支え、患者中心の医療を提供するための総合力を養います。
OVERVIEW
教室の概要| 名称 | 大阪大学大学院医学系研究科 老年・総合内科学講座 |
|---|---|
| 診療科(附属病院) | 老年・高血圧内科、総合診療科 |
| 主な研究分野 | 高血圧・老化、フレイル・サルコペニア、認知症、総合診療、臨床推論 |
| 所在地 | 〒565-0871 大阪府吹田市山田丘2-2 B6 |
老年内科診療のキーワード
老年内科が目指す高齢者のトータルケア(概念図)
フレイル(Frailty)
健常と要介護の間の状態。老年内科の役割は、単に高齢者を診るのではなく「老年医学的アプローチ」が必要な方を適切に評価し、介入することです。高齢者総合機能評価(CGA)等を用いて、生活機能に影響を与える項目を多角的に評価します。
Multimorbidity・ポリファーマシー
単なる疾患の合併ではなく、複数が密接に関連し合う「多疾患併存」への総合的管理。また、多剤併用による弊害(ポリファーマシー)に対し、優先順位を判断して減薬する「Choosing Wisely」の実践も重要なスキルです。
もの忘れ・認知症
老年内科では、まさに初期の段階から関わることが多いのが特徴です。精神科や神経内科とも連携しつつ、高齢者の生活全体を支える視点での診療は、老年内科医としての基本スキルとなります。
ふらつき・転倒
転倒に伴う骨折や寝たきりを防ぐため、鑑別診断から治療介入まで多面的なアプローチを行います。老年医学において「Falls」は専門的スキルが求められる極めて重要な病態の一つです。
要介護・エンドオブライフ
多職種と連携し、患者中心のケアを推進。慢性に進行する病態において、適切な時期に最善のサポートができる体制を構築することは、老年内科医としての重要な資質です。
緩和ケア・ACP・多職種協働
アドバンス・ケア・プランニング(ACP)の実践や、高齢者外科手術の内科的支援(術後せん妄予防等)など、多職種チームの中心として内科全般にわたる管理を担います。
主な連携研究・教育機関
当講座出身者が主宰する医学系の研究・教育機関(2024年現在)
| 大学・機関名 | 教室・部署名 | 主宰者 |
|---|---|---|
| 大阪大学 | 老年・総合内科学 | 教授 山本 浩一 |
| 腎臓内科学 | 教授 猪阪 善隆 | |
| 臨床遺伝子治療学寄附講座 | 教授 森下 竜一 | |
| 健康発達医学寄附講座 | 教授 中神 啓徳 | |
| 総合ヘルスプロモーション科学 | 教授 神出 計 | |
| 老年看護学 | 教授 竹屋 泰 | |
| 愛媛大学 | 循環生理学 | 教授 満田 憲昭 |
| 薬理学 | 教授 茂木 正樹 | |
| 鹿児島大学 | 心臓血管・高血圧内科学 | 教授 大石 充 |
| 金沢医科大学 | 高齢医学 | 教授 大黒 正志 |
| 寄附講座総合医療学 | 教授 中橋 毅 | |
| 大分大学 | 老年看護学 | 教授 吉岩 あおい |
| 国立長寿医療研究センター | 分子基盤研究部 | 部長 里 直行 |
| 北海道大学 | 衛生学 | 教授 上田 佳代 |
| 川崎医科大学 | 総合老年医学 | 教授 杉本 研 |
| 金沢大学 | 免疫学 | 教授 華山 力成 |
| 大阪歯科大学 | 内科学 | 教授 志水 秀郎 |
HISTORY
教室の歴史1976年6月1日に老年病医学講座(第四内科)が開講。高血圧、老化・カルシウム、糖尿病、遺伝、甲状腺の5研究室体制で老年病医学の基盤確立を進めました。
分子生物学的手法による老年医学研究を推進。早老症(Werner症候群)遺伝子の発見、各種高血圧遺伝子や糖尿病遺伝子の発見と機能解析、効率の良い遺伝子導入法を用いた臓器再生や遺伝子治療の研究など、多くの成果を上げました。
- 1997年4月:改組に伴い「加齢医学講座」に改称。
- 2003年3月:臨床遺伝子治療学講座が独立(森下竜一寄附講座教授が着任)。現在も当講座と一体となって活動。
- 2005年4月:加齢医学講座と病態情報内科学講座腎臓研究室が合併し、「老年・腎臓内科学」に改称。
高齢者高血圧をはじめとする生活習慣病対策に加え、老年医学研究分野を拡大し、認知症、サルコペニア、フレイルといった新しい分野に取り組みました。診療科の枠を超えた高齢者診療や、地域在住高齢者コホート研究を基にした高齢者ヘルス研究も大きく進展しました。
- 2013年:楽木教授が附属病院総合診療部の部長を兼務し、総合診療に取り組む体制を構築。
- 2015年10月:内科学講座の再編により腎臓研究室が「腎臓内科学講座」として独立。当教室は「老年・総合内科学講座」と改称。
新規老化メカニズムを標的とした治療法の開発やフレイルへの介入研究に必要な評価法の開発を行い、老化を直接抑制して健康寿命を延伸させる治療法の実現を目指します。診療においては老年内科・総合診療科のシナジー効果を活かしてプロフェッショナルな「老年・総合診療内科医」を育成すること、AIを含めた先進医療を病院診療に導入することで、阪大病院の発展に寄与する先進的な老年科診療と世界への展開を目指していきます。